【開催報告】「光・レーザー関西2024 シンポジウム」2024年7月18日開催のご報告

2024年10月2日
NPO法人日本フォトニクス協議会 JPC関西

「光・レーザー関西2024シンポジウム」開催報告
〜光が切り拓く未来社会 エンターテイメント、エネルギー、生活、農業〜

2024年7月18日(木)13:30~17:00
マイドームおおさか8階 第3会議室にて

直近10年の光・レーザー技術の進歩・実用化には素晴らしいものがあります。レーザープロジェクタ、VCSELでの顔認証、光通信の高度化、生成AIのためのデータセンターへの光通信技術の導入など様々なLiDAR計測などが社会実装されています。さらにレーザー核融合の分野ではブレークイーブンされ、新しいエネルギー源として期待されています。
このような著しい技術進化のなか、今般JPC関西シンポジウムは、これから5年、10年後に想定される応用や波及効果についての話題提供をさせていただくことを主旨として、開催されました。

冒頭主催者より、JPC関西の新組織体制のご紹介と、本シンポジウムが光技術応用の産業に関わる方々にとって、有用な情報交換・意見交換の場となり、新たな応用展開につながることを祈念したい旨の開催挨拶が行なわれました。


▲開会の挨拶(山本支部長)

 

講演1として
山本和久氏(大阪大学レーザー科学研究所特任教授、日本フォトニクス協議会(JPC)副理事長、JPC関西支部長、(一社)レーザー学会理事、可視光半導体レーザー応用コンソーシアム<VLDAC>代表)より『可視光半導体レーザーが拓く未来社会』のご講演をいただきました。

まずレーザーの産業応用と光利用の変遷などわかりやすくご説明頂き、現状可視光の最新応用のひとつとして、超スマート社会のサインシステム(ドローンによるレーザー空中描画:大阪関西万博夢洲での実証実験)、空間スクリーンへの避難誘導などへの展開技術やスマート農業などへの走査型レーザーによる高度化応用展開の状況など順次紹介されました。害虫への検出、追尾、駆除への応用展開も大変興味深く、可視光レーザー照射応用が、安全性の担保とともに、AIのサポートを得て、ディスプレイと照明の一体化、センシングとの融合、宇宙そして核融合に至るまで、今後さらに大きく広がりをもって発展していくものと期待想像される貴重なご講演をいただきました。


▲大阪大学レーザー科学研究所特任教授 山本和久氏

 

講演2として
桝井真吾氏(日亜化学工業株式会社LD事業本部LD研究開発部部長代理)より『可視光半導体レーザーの進展と応用』のご講演をいただきました。

高出力青色LDならびに緑色LD、赤色LD開発状況および3原色すべての半導体レーザーチップの自社製造化の推進、一方他社との協業枠組みによる高効率、高出力化の開発・製品化を加速する状況など、マルチチップパッケージの特性、新規技術開発GaN VCSEL 特性も含めて、多様な開発視点でのご講義をいただきました。
レーザーの基礎から発展、応用についてわかりやすく講演いただきました。
日本のレーザープロジェクター市場の拡大も大きく期待されます。
なお、同社は、今年度の科学技術賞の表彰テーマの1つである
「劇場用レーザープロジェクションシステムの普及」というテーマで、業界の主要なプレイヤーと共に青色・緑色レーザーダイオードというキー部品の開発・供給より普及に貢献したことが評価され、今年度アカデミー科学技術賞を受賞されておられます。
ご受賞誠におめでとうございます。


▲日亜化学工業株式会社 桝井真吾氏

 

講演3として
山内康寛氏(三菱電機株式会社高周波デバイス製作所光デバイス部部長)より『生成AIを支える光通信技術』のご講演をいただきました。

データセンター市場の急拡大と生成AIの登場が光ファイバーの通信の高速化を牽引している通信網環境および光通信用レーザーの種類と特徴の中で、同社によるEML(電界吸収型変調器付きレーザー)の開発コンセプト、開発状況などをわかりやすい技術トレンドのご説明をあわせ、詳しくご講演をいただきました。報告者個人は、生成AIの登場は、原発1基分の電力需要というのは、インパクトがあるものでした。


▲三菱電機株式会社 山内康寛氏

 

講演4として
重森啓介氏(大阪大学レーザー科学研究所副所長、教授 工学研究科環境・エネルギー工学専攻)より
『レーザーフュージョンエネルギー実現のための技術とその波及効果』のご講演をいただきました。
核融合とは?核分裂との違いは?というとご説明から、
レーザー核融合の仕組みと方式、レーザー核融合炉・核融合発電に必要な技術に至るまで
「レーザー核融合の原理」「レーザー核融合炉の模式図」「その他方式」など図表示を多用していただき、大変わかりやすくご説明をいただきました。スタートアップ企業を含めた核融合開発の進展状況や米国、フランス、ドイツ、中国など世界中での開発投資規模などあわせて理解を深めていくにつれ、レーザー核融合技術のさらなる発展・進化、レーザーを核とした光産業技術の融合、新産業の創出など近い将来に向けての日本技術へ期待が大きくなるばかりの貴重なご講演でありました。


▲大阪大学レーザー科学研究所副所長、教授 重森啓介氏

以上
17:00 本シンポジウム講演会は、大変有意義な時間をもって、終了いたしました。

シンポジウム会場から会場を移して情報交換会(~18:30)を開催いたしました。

参加者企業の近況、研究開発課題、シンポジウム講演内容についての質疑応答など自由活発な情報交換がなされ、概ね1時間として設けられていた時間が、あっという間に過ぎ、大変有意義な交流の場となりました。


▲情報交換会の様子

今回のシンポジウムには、講師関係者を含め56名参加。
参加者内訳は、会員(個人、法人)5割、一般参加5割となっていて、会員企業はもとより、非会員企業の関心の高さが顕れた参加数となりました。
参加者からのアンケート結果をもとに、今後の講演会やセミナー等JPC関西活動の参考にさせていただきます。

最後に
今般、講師各位、各位所属の機関や企業、株式会社オプトロニクス社、情報交換会会場 「β本町橋2Fラボ」店の皆様、その他方面の関係者方々のご尽力ご支援により無事開催のご報告ができましたこと、感謝申し上げます。

以上

by
関連記事