【開催報告】JPC関西講演会およびレーザー核融合等実験施設見学会 2025年3月11日開催報告
2025年4月24日
NPO法人日本フォトニクス協議会JPC関西
JPC関西講演会およびレーザー核融合等実験施設見学会開催報告
~パワーレーザーが創る新産業 海中から宇宙、鑑定から農業、さらに核融合へ~
■ 2025年3月11日(火)13:00~16:50
■ 大阪大学レーザー科学研究所 超大型レーザー実験棟(E棟)大セミナー室にて
▲講演会の様子
冒頭主催者を代表して山本支部長より、本日のプログラムに関する趣旨説明と、本講演会が光技術応用の産業に関わる方々にとって、有用な情報交換・意見交換の場となり、新たな応用展開につながることを祈念したい旨の開催挨拶が行なわれました。
▲ 山本 JPC関西支部長
次に共催のITAC(NPO法人新共創産業技術支援機構) 中村理事長よりITACの紹介、レーザー科学研究所とのつながりについての説明があり、今回の協賛に関してのお礼含めた挨拶が行われました。
▲ 中村 ITAC理事長
講演1
兒玉 了祐 先生(大阪大学レーザー科学研究所所長、(一社)レーザー学会 会長)より
『パワーレーザーの変革:多様な応用とエネルギー創出への挑戦』のご講演をいただきました。
まず大型パワーレーザーの開発目的(①フロンティア、②最先端の総合技術)のお話よりパワーレーザーの変革について分かりやすくご説明を頂きました。発電をはるかに凌ぐレーザーフュージョンエネルギー実現へ向けての取組ではさらなる進化でより高効率化・より小型化が課題であり、10年以内に世界初の繰り返し大型レーザー施設にてデーターセンター向けに展開を考えておられる。エネルギー資源の無い日本にて技術を駆使してエネルギーを作りだすという素晴らしい講演内容で是非実現して頂きたい内容のご講演をいただきました。
▲ 兒玉 了祐 先生
講演2
手塚 耕一様(株式会社トリマティス 執行役員)より
『可視光レーザーの海中DXにおける応用』のご講演をいただきました。
日本を取り巻く広大な海洋およびその資源の有効活用等により水中へのICT/IoT技術への取組みとして、水中での損失が小さい可視光レーザー使用した水中光計測技術、無線技術を新規開発し、水中・海中のDX化により社会課題の解決を目指すため、水中フュージョンセンサのご紹介を頂きました。ユースケースとして、養殖場の魚のサイズ、船体検査、水中インフラ点検への応用。今後の課題として、散乱光への対応が課題である。将来展望として、水中の見える化、水中のDXを実現するため水中ネットワーク構築を目指されているという内容のご講演をいただきました。
▲ 手塚 耕一氏
講演3
筑本 知子 先生(大阪大学レーザー科学研究所教授、同マトリクス共創推進センター所長)より
『レーザーの新たな応用:文化財解明から害虫駆除・空中表示まで~広がる技術とみらいの可能性』のご講演をいただきました。
マトリクス共創推進センターの目的としてレーザー科学の多様性を生かした世界最先端研究と人材育成の共創の場として活用されるというご説明より、レーザーを使用した文化財解明、害虫駆除、空中表示についてのご講演をいただきました。文化財解明ではイメージング分光とOCTの技術を生かし解明の研究という大変興味深いお話を頂きました。害虫駆除では研究成果として、急所の解明、動体検出により蛾の輪郭中心を狙っての狙撃が成功。羽ばたきの影響とシステムの遅れという課題への対策として、速度ベクトル予測とカルマンフィルタ―予測により飛翔する蛾に対して飛翔予測の有効性が検証出来た。レーザー空中サインシステムのご説明では防災・避難誘導、防犯、避難救助の様な「安心」、ショー・エンタメ、空中広告の様な「感動」という未来社会創造へつながるという内容のご講演をいただきました。
▲ 筑本 知子 先生
超大型レーザー実験棟(E棟)見学会として
3班(A班:兒玉所長 B班:余語教授 C班:有川准教授)に分けて見学会実施、
最初15分は全員大セミナー室でレーザー研紹介動画、および「500W!Nd:YAGレーザーを作ってみた」を視聴しました。
その後各班順次、展示室ではレーザー核融合の原理と主力の大型レーザー実験装置である激光Ⅻ号のミニチュアモデルや構成光学部品、さらにはレーザー核融合発電の構想イメージについて説明されました。見学ホールはクリーンルーム内に設置され装置全体をガラス越しに見渡せる位置に設置され、ここから、世界有数の光出力の超大型レーザー実験装置である激光Ⅻ号、さらに世界で類を見ない超高強度のLFEXペタワットレーザーの説明を受けるとともに見学を行いました。
さらに大セミナー室では2023年にNHKで放送されたサイエンスZERO_「人類の未来を救え!ここまで来た核融合発電」のビデオ上映が行われました。ここでは、2022年12月に米国ローレンスリバモア研でレーザー核融合において初めて臨界越えした翌年の2023年に大阪大学レーザー研の先生方がレーザー核融合の回折と実用への覚悟を述べられており感銘を受けるものでした。
▲見学会の様子
見学会終了後JPC関西新入会員紹介として、株式会社パワーレーザーの紹介を同社戦略企画部長でかつJPC関西副支部長である前田が実施しました。
▲新入会員紹介:(株)パワーレーザー
その後、株式会社オプトロニクス社の三島編集長より7月の光・レーザー関西への出展の案内がありました。
16:50 本講演会、見学会は、大変有意義な時間をもって、終了いたしました。
情報交換会は大セミナー室の隣の会場(実験統括室)にて(17:00~18:30)開催いたしました。
参加者企業の近況、研究開発課題、講演内容についての質疑応答など自由活発な情報交換がなされ、概ね1時間半として設けられていた時間が、あっという間に過ぎ、大変有意義な交流の場となりました。
乾杯の挨拶:大阪大学レーザー科学研究所所長 兒玉先生
中締め:ITAC 中村理事長
大阪締め:JPC関西副支部長 豊田
▲情報交換会の様子
今回の講演会には、講師(3名)関係者(16名(ITAC5名含む))を含め53名が参加。
参加者内訳は、会員(個人、法人)13名、一般参加21名となっており、会員企業はもとより、非会員企業の関心の高さが顕れた参加数となりました。
参加者からのアンケート結果をもとに、今後の講演会やセミナー等JPC関西活動の参考にさせていただきます。
最後に
今般、講師各位、大阪大学レーザー科学研究所の関係者、ITAC関係者、各位所属の企業、株式会社オプトロニクス社、その他方面の関係者方々のご尽力ご支援により無事開催のご報告ができましたこと、感謝申し上げます。
以上